福田 剛士のブログ 「遠隔会議な人」

電話・Web・ビデオ会議の気になった最新情報、考えさせられたことや個人的な想いを綴ります。

新たな働き方は「足し算」ではなく「かけ算」の効果

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日本企業は確実に強くなりました。バブル崩壊の大波を乗り越え、グローバル化に果敢に挑戦し、為替変動にも動じない強靱な体を作り上げました。世界有数の製造大国であると同時に、最高峰のサービスレベルを持つ日本企業は、細部へのこだわりとお客様を重んじる繊細さを併せ持つ日本人のすばらしさの象徴です。多くの海外企業の見本となっています。  

しかし少子化と高齢化が、生産年齢人口の減少を引き起こし、日本企業が築き上げた強靱な体力を消耗していきます。体力の消耗を最小限にし、更なる高みへ向かうために何をすべきか。今、日本企業に求められているのは、限られる個々の能力を最大限に引き出し、外から新たな力を取り入れ、新しい技を習得することです。  

日本のサービス業の生産性は他の先進国よりも低いと言われています。これは、日本の終身雇用と年功序列が生み出すメンバーシップ型雇用が、人事評価を不明瞭にしており、残業することや、飲み会などの付き合いが評価に繋がるという、日本独特の評価風土を作っています。結果、外国人労働者の受け入れ体制を整備しにくくなることに繋がり、女性が活躍できる機会が少なくなっています。日本での社員教育は、業務遂行のためのOJT (On the job training)がメインで、将来的に幅広く活躍できるキャリアを育むことに繋がっていないと言われています。また、平均寿命が向上する中、経験豊富なシニア層はもっと活躍できる、と言われています。育児や介護、看病が必要な人々は、やりたい仕事から離れなければいけないという現実があります。病気になり、仕事はしたいが回復するまで全力で仕事ができない人々も多くいます。  

今一度、グローバルに目を向け、新しい「働き方」に対する学びを求めるときです。欧米では、業務の責任範囲を労使で合意し、成果に対する人事評価を徹底しています。OJTだけでなく、成果を効率的に出すため、外部からトレーナーを呼び社員の潜在能力を高める社員教育に力を入れます。従業員の集中力と業務の質を高めるため、プライベートの充実も大切にします。余計な体力消耗や心配をなくすため、自宅でも外出先でも柔軟に働くことができるようにインフラやルールを整備します。また、避けられず病気になってしまった人々に対して、働く権利を守る制度が確立されています。  

これらがクロスに影響し合うことで、足し算ではなく「かけ算」で効果を発揮します。成果に対する公平な評価は、労働時間と成果が比例しないサービス業での生産性を高めます。同時に、有能な外国人を受け入れる土壌が整備されます。男性中心の日本の働き方に新しい風を入れ、女性が活躍できる環境を作ります。育児や介護が必要な人々は、通勤を気にせず、家に居ることができることで心配から解放されて仕事に打ち込めます。外出が難しい治療中の人々は時短をしながらも、それぞれが持つ能力と経験で会社に貢献できます。  

日本企業が更なる強みを手に入れるためには、様々な人が、様々なレベルや範囲で、「プロフェッショナル」として活躍できる、新しい風土や制度を取り入れることが最も重要なことなのです。